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「組織犯罪処罰法改正案(テロ等準備罪法案)」に対する抗議声明


連合大阪地方ユニオン大阪地域合同労働組合は今国会で共謀罪が新設されたことに強く抗議します。


本法案でテロ等準備罪と称されているものは、計画そのものが犯罪行為とされるという点で共謀罪に他なりません。


弁護士、学者やジャーナリスト、作家などがそれぞれの立場から反対を表明していますが、私たち中小零細企業を中心とした労働組合の立場から観ても多くの問題があります。


第一に共謀罪の適用範囲です。277の犯罪がその対象であるとされていますが、その中には、威力業務妨害や著作権法違反も含まれています。

これらは、労働組合の正当な活動の中で抵触する恐れが常にある法律です。国会答弁で明らかになったように、「嫌疑」がある段階で捜査が始まるとすれば、私たち大阪地域合同労組はすでに「嫌疑」を掛けられていてもおかしくないのです。私たちは不当な解雇や企業の行為を知らしめるためにビラを撒くことがあります。また場合によっては著作物をコピーして撒くこともあります。

これらを実行しても、よほど悪質でない限り、正当な活動として認められてきました。ところが、捜査機関によって威力業務妨害や著作権法違反の「嫌疑」があると判断され、計画段階で捜査、逮捕されるとすれば、例えその後、勾留、起訴されることなく放免されたとしても、私たちの組合の活動は大きなダメージを受けます。そうなる可能性があると言うだけでも、影響があります。日本では誤認逮捕は適法とされています。

私たちが労働組合として、堂々と資本に対峙することを妨げる法案であると言わざるをえません。


第二に条文の曖昧さです。政府がこれまでの共謀罪と本法案のテロ等準備罪の違いとして強調する、「組織的犯罪集団」と「具体的な準備行為」の付加は、どちらも内容が明確ではありません。国会の論議でも明らかになったように、「組織的犯罪集団」かどうかを判断するのは捜査機関であり、私たちのような「一般人」が加入している正当な労働組合でも、捜査機関が「一変」したと判断すれば対象となります。上記の例でいえば威力業務妨害が目的であると判断されれば、ビラを刷るための紙を購入することは「具体的な準備行為」になります。曖昧な条文は恣意的な運用を招くことを歴史は教えています。


第三に今後の捜査手法が事前の監視を当然とするものとなっていくのではないかという懸念です。この法案自体には捜査手法についての文言はありません。しかし、附則においてGPS捜査を検討することが明記されているように、「準備行為」を把握するためには当然に「嫌疑」の段階での監視が必要であることは誰にでもわかることです。「嫌疑」のある団体についてはメールや電話、SNSなどすべてが監視対象となるでしょう。


現状の適用範囲、曖昧な条文で監視がなされるとすれば、すべての人のコミュニケーションを権力の監視の下におくことが可能になります。


海外を含め多くの団体が反対声明を発表し、懸念を表明しているにもかかわらず、このような問題のある法案を、本質的な修正も施さずにルールを曲げて強行採決をしたことに強い不安を感じます。2014年に施行された特定秘密保護法で権力の情報は保護され、今回のテロ等準備法で権力は私たちの情報を監視することができるようになりました。次は憲法の変更が日程に上がってくるでしょう。


大阪地域合同労組は、このような個人の自由と民主的な社会を、突き崩していこうとする動きに対して強く抗議すると共に、決して萎縮せずに行動を続けていくことを表明します。


                                                       2017年6月22日

                                                       定期大会 参加者一同